大塚駅から、5分も歩いた、郵便局のある反対側に、地酒屋こだまという酒屋がある。
たいていの酒屋は、日本酒の他にビールやら、焼酎やら、発泡酒やらを置いているのだが、ここの酒屋は、ほぼ日本酒、いや全部日本酒だったような気がする。面白い店だ。
このお店は、昨年の、たしか5月頃、以前は「つなや」という名の酒屋さんだったお店が、新しい店主にバトンタッチして、「地酒屋こだま」として始まった。実は、ここのお店の店主さんとは、以前から知り合いで、それで、一度は訪ねてみたいと思っていたわけだが、なかなか行く機会もなかった。そして、昨年暮れも押し詰まった28日に、たまたま都心の方で仲間と忘年会をやることになり、そのついでに寄らせてもらった。
店の前に着いた。ドア越しに、店主の児玉武也さん(以後、たけさんと呼ぶ)が、元気そうにお客さんの応対をしているのが見えた。私は嬉しくなって、元気よく店に入って行こうと、一生懸命ドアを押す。しかし、どうしたことか、ドアが開かない。そうか、手前に引くのかと思って、引っ張って見たがやはり開かない。
そして、しばらくドアをガタガタさせた後、やっと左右に開く引き戸だったことを思い出した。そして店内に入ると、たけさんは、開口一番「壊さないでくださいね~」と言ったのだ。
この店は、素晴らしい店だ。酒の好きな人、酒に興味がある人、自分は好きじゃないけど誰かに酒を贈りたい人など、何かしら酒を買う理由がある人は、この店に行ってみるといいと思う。
このお店をお奨めする理由は、主に五つある。第一に、ほぼすべての酒が試飲可能であること。無数にある酒の種類の中で、どの酒が自分の欲しい酒かなんて、だいたい飲んでみるまで判らない。しかし、この店は、ほぼすべての酒が試飲可能なため、自分の舌で確かめて納得して買っていくことができる。たとえば、自分はあまり飲まないけど、今日はふぐ鍋なのだというお客さんには、ふぐに合うお酒ならこういう味はいかが?というように、たけさんが何種類かを試飲させてくれるのだ。お客さんは、自分の舌で確かめて納得して買っていくことができるというわけだ。
第二に、酒の管理が行き届いていること。冷蔵庫の照明などは、酒にとって有害な紫外線を出さないものを使い、常に0度で保存しているとのことだ。蔵元さんが丹精して造ったお酒を大切に扱っていることがよくわかる。蔵元さんも、こういうお店なら安心して、自分の蔵で造ったお酒を託せるというものだ。
第三に、このお店にある酒が、ほとんど店主の好みと言うか、独断と偏見で選定されたお酒ばかりだということである。有名な蔵の酒なんて、ほとんどないのである。それゆえに、発見があり、わくわくするのである。中には、佐賀県で年間25石しか造っていない蔵の、東鶴なんていう酒もある。いや、もちろん石高が少なければ良いということではないのだが、少なくても、たけさんが良いと思ったもの、あるいは良くなる可能性があると判断したものを置いているということだ。だから、新たなお酒との出会いを体験したいと思ったら、この店に行ってみるとよいかも知れない。
第四に、午後5時からスタートするという、有料試飲コーナーの存在である。地酒屋こだまは、酒屋であって、決して居酒屋でないので、その辺のことを理解して、大人しく飲まなければならない。しかし、気になる酒があったときなどのように、じっくり唎いてみたい場合は、このコーナーがあるのはありがたいことだ。(諸般の事情により現在は有料試飲はやっていないみたいです[2012年1月追記])
そして、何よりも素晴らしいと思ったのは、たけさんの心のこもったお客さん対応だ。私が、有料試飲席で、のんびり酒を飲んでいる間も、お客さんがポツポツやって来るのだが、一人ひとりのお客さんの要望に耳を傾けて一緒になってお酒を選んでいる様子は、素晴らしいなと思った。お客さんも、楽しそうに買い物が出来るし、たけさん本人も楽しそうだ。そして、お客さんが帰る時は、ていねいに入り口で頭を下げて挨拶していた。ここまでされると誰だって、いい気持ちになるし、また、買いに来ようと思うに違いない。
以上、ずいぶん褒めたが、これは、たけさんが私の知り合いだからと言って、決してひいき目に書いているのではない。少なくとも、こんな酒屋さんには、今までに行ったことがなかったので、少々びっくりしつつも、素晴らしい酒屋さんだと思えたのだ。
最後に読者の皆さまにも一言注意をしておきましょう。地酒屋こだまの入り口のドアは、左右にスライドさせる方式です。決して無理に押したり引っ張ったりしてドアを壊さないようにしましょう(笑
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