2011年2月25日金曜日

骨董品の燗銅壺で燗を楽しむ

以前、燗銅壺の記事を書いて、そこで、酒生活の楽しみのためには、燗銅壺が一つ欲しいものだと書いた。その後、ネットオークションなどで物色しつつも、手ごろな品物がなかったり、あっても落札に失敗したりした。一旦、落札して入手はしたものの、水漏れがして返品した品物もあった。つまり、なかなか入手できなかった。それで、少々、燗銅壺熱が冷めて、最近は、是が非でも入手してやろうという程でもなかった。

ところが、そんな時に「さわのすけ」での一件が起きた。

「さわのすけ」とは、小澤酒造直営の澤乃井園内に、仮設カウンターを設置して、二月末までの週末限定で営業している居酒屋である。私は、二週間ほど前、ここで燗酒を楽しんでいた(詳細は、さわのすけの記事を参照)。そして、そこには、なかなか美品の燗銅壺が置いてあった。

私の認識では、燗銅壺には二つのタイプがある。一つは単体で使用するもの、もう一つは長火鉢または囲炉裏と組み合わせて使用するものだ。これら二つのタイプの仕組みを図解すると、概ね下の図のようになる。


単体で使用するタイプ



長火鉢・囲炉裏等と組み合わせるタイプ


いずれのタイプも炭火の熱で、その周りを囲む水槽の水を加熱し、その中に酒徳利や、燗チロリなどをつけて酒を温める仕組みになっている。

「さわのすけ」に置いてあったものは、長火鉢に入れるタイプではなく、単体で使用するタイプだ。使ってはいないで、ただ、展示的にカウンターの中に置いてある。

こうして、美品の燗銅壺を愛でながら、様々な酒の燗を飲んでいると、そこに、たまたま澤乃井の社長さんが、やって来た。そして、次のようなやりとりがなされた。

いちべー「社長、あの燗銅壺いいですね~」
社長「使ってないから6000円で売ってあげるよ」
い「あ、じゃあ、買います」
社「あ、やっぱり8000円」
い「え、どうして値上がりするの?」
社「だって、オークションだもの」

入札者が一人しかいないのに、勝手に値上がりするオークションというのも変な話であるが、要するに、結局は手放したくないご様子である(笑)

しかし、一旦目の前に良いものを見せられて、しかも、それが手ごろな値段で入手できると言われ、その直後に、やっぱりそれが入手できないとわかると、なおさらそれが欲しくなるものだ。

「うう、やっぱり欲しいな、燗銅壺・・・」。そう、この一件により、私の「燗銅壺欲しいよ病」がぶり返してしまった。それで、後日、ネットオークションで、手ごろな燗銅壺がないか見ていると、その時点で4900円の値がついている品物があった。5000円で入札すると、まもなく落札出来た。これは、単体で使用するタイプである。

単体で使用するタイプを選んだのは、長火鉢を用意しなくて良いという点と、長火鉢と組み合わせるタイプだと、使用する場所が長火鉢のある場所にほぼ固定されてしまうという難点があったからだ。

この新たに入手した燗銅壺で燗酒をつけて飲んでみた。

小さな銅壺ではあるが、水がけっこう入る。2リットルくらい入りそうだ。別途やかんで、ある程度温めておいた湯を、銅壺に注ぎ、炭をおこして銅壺の火つぼに入れた。

湯は、沸騰するほどでもないが、燗をつけるには十分な温度である。少しの炭でもけっこうお湯が温まるものだ。そして、なにより楽しいのが、炭の上に網を載せて干物などを焼けるという点だ。

この銅壺、二、三人でちまちまと、干物やスルメを炙りながら、ゆっくり燗酒を楽しむには最高の小道具ですから、酒を愛する読者の皆様も、ネットオークションなどを探してみられてはいかがでしょうか?




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