2009年10月31日土曜日

TDL並みか!

2009年10月24日、小澤酒造の蔵開き、朝9時半。試飲が行われている蔵の建物の前には、すでに長蛇の列。


少しすれば、空いてくるかなと期待して、とりあえず澤乃井園(小澤酒造は観光蔵として、工場のとなりに食事処、休憩施設、有料試飲施設などを備えている)に移動すると、こっちは、まだ空いていました。

「いちべーさん!」と声を掛けられ、振り向くとKさんでした。今まで直接お会いしたことはないけれども、mixiで何度かコメントをやり取りしている方です。

「いちべーさんは、すぐにわかりましたよ~!」

着物で目立ったせいでしょうか?この日も、知り合いには、蔵の人を除いて6人ほど会いましたが、私の方では気付かずに、すべて向こうから声を掛けていただきました(さらに、後日になって「澤乃井の蔵開きで見かけましたよ」と言ってくる人もいた)。目立ちたがり屋さんには、和装がお奨めですね。

休憩所で、生酒を買って飲むなどしていると、こちらの方もだんだん混雑してきました。小澤社長さんも、特設売り場に出て、澤乃井特製のおからシューマイなどを売っております。蔵の皆様、お疲れ様です。

さて、蔵の方に戻ると、「ただいま試飲2時間待ち」の札を掲げられています。なに~っ!ここはディズニーランドか?空いてくるかと思っていたら、状況はさらに悪化したというわけです。


どうやら並んで待つ他はないようです。でも、順番待ちしている時には、お囃子の演奏や、獅子舞が行われ退屈はしません。舞台で踊っていたひょっとこが降りてきて、楽しませてくれます。子供が笑いこけながら逃げまどいます。行列待ちの客を飽きさせない工夫も、ディズニーランドに通じるところがありますか?

蔵内の様子


普通酒コーナー、純米/本醸造コーナー、個性派コーナーなど、酒の特徴毎に分類されています。これらの酒をすべて試飲して来ました。


木桶仕込み「彩は」で使用している桶。仕込みタンクとしてはかなり小さいですね。この小さな桶で仕込んだ酒が、"Fountain of Tokyo"の名前で米国などにも輸出されているのですね。世界に広まれ、東京の銘酒。


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2009年10月29日木曜日

別府二幸荘での悪ふざけ

とある旅館の一室、棚の上に花魁、芸者、侍、舞子などの、いろいろな鬘が並べられ、着物は、これも多種多様なものハンガーにぎっしりぶら下がり、別の場所にも着物がうずたかく積まれています。部屋の片隅には、模造の刀や槍などが、段ボールに入れて立てかけられています。半透明のプラスチックの5段くらいある整理ケースには、たくさんの足袋がしまわれ、引き出しにサイズ毎に、分類され収納されているようです。

部屋に置かれた台、その上には、メイク用のどうらんや、ブラシなどの化粧道具が雑多に置かれています。その手前に二つの椅子が向かい合わせに置かれて一方に、マスクを着けた男が座り、向かいには、女性が座っています。マスクの男は忙しそうに女性の顔にどうらんを塗ったり、眉毛を描いたりしています。女性の方は、元来おしゃべりな性格なのか、どうらんを塗られて目は閉じたままなのに、口だけは良く動いて、その男にしきりに何やら話かけています。

この旅館は、大分県別府市にある二幸荘です。私は旅行仲間たちと、仮装宴会を楽しむためにこの旅館を訪れたのでした。2009年10月18日でした。

二幸荘は、昔は、芸者を呼んで宴会をするような客層が主流で、その頃は、この旅館がある浜脇温泉付近は、賑やかな旅館街だったようですが、だんだんとそのようなお客も減って、活気が失われて行ったようです。

ところが、ここの旅館のご主人は、自身の仮装とかコスプレの趣味が高じて、着物や鬘で泊まり客に仮装させて、その格好で宴会をさせたところ、これが受けて最近では海外からもお客さんが来るほどになったそうです。

今では、日本唯一の仮装宴会ができる旅館として、仮装好きのリピーターも多いようです。300種類もの衣装から、気に入った衣装を選べるようで、ご主人は、さらに衣装や鬘の充実を図るべく、東京の方にも、ときどき鬘や衣装を仕入れに出ているとのこと。

いや、別に、私としては、仮装なんてどうでもよいのですよ~。一緒に行った二人が、花魁がやりたいとか、芸者になりたいとか言うもので、流れで私もこの旅館に泊まることになったわけです。

それでも、宿泊代に仮装の料金も含まれていたので、どうせなら仮装しないと損かな~などと思い、結局当日になって仮装することに。

「顔が笑ってるよ、顔が・・・」


「痴情のもつれってやつでしょうか?(笑」


「やりたい放題で、両手に花だよ、うっしっし~」


と、まぁ、ノリノリで遊んでいたわけです。

しか~し、カツラって暑いです。どうらんとか、いろんなメイクの粉が溶けた、青黒い汗が鼻の頭から滴り始めました。この仮装状態のままの宴会というのは、ちょっと厳しいなぁ~。

というわけで、私は一足先に、変身解除。温泉に入ってメイクをきれいに洗い流し、さっぱりして~宴会です。料理も豪華です。





本日の酒
澤乃井 一番汲み にごり酒(小澤酒造)
24日は、この酒を造っている小澤酒造の蔵開きイベントがあり、遊びに行ったついでに、限定品の「にごり酒」を買ってきた。個人的には、しぼりたての若い味の酒より、熟成した酒が好みであるが、この季節にしか味わえないので、やはり飲んでみた。しぼりたての生酒を飲みながら、深まり行く秋を実感している。
精米歩合:65%
アルコール度:19 - 20%



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2009年10月26日月曜日

山口酒造場に車で行ってニンジンジュースを試飲した!

以前、小鳥の絵が描いてある酒ラベルを飲んだことがありました。こくがあり香りも良くてよい印象があったのですが、このお酒が、たしか、「特別純米 庭のうぐいす」だったと思います。山口酒造場は、この「庭のうぐいす」の銘柄で知られる蔵です。

10月16日から19日にかけての九州旅行中、福岡の宿から大分の宿へ向かう途中で山口酒造場を訪れました。

この酒造場近くまであと少しのところまで車を走らせると、近くの北野天満神社のお祭りで付近が通行止めになっていました。仕方なく、交通整理の人に教えてもらったグランドの駐車場に車を停め、蔵へは歩いていきます。5分くらい歩くとお祭りの稚児行列に出会いました。そして、そのあたりがちょうど山口酒造場の入り口の前でした。


年間の生産量600石ほどの小さな蔵ですが、この蔵の特別純米のだるまラベルは米国などでも販売されているようで、以下のサイトなどでも紹介されています。そうだ!頑張れ日本酒、海外へも進出するんだ!
Urbansake.com 
True Sake



この日、蔵ではパッチワークの展示があり来訪者が多かったです。試飲もできるようになっていましたが、残念ながら車を運転しており、お酒が飲めません。同行者二人は、美味そうにいろいろなお酒を試していますが、私はニンジンジュースで我慢して(なぜかニンジンジュースの試飲もあった)、お酒の方は、この時に購入した特別純米のひやおろしを家に帰ってからゆっくり楽しむことにします。



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2009年10月23日金曜日

九州旅行で立ち寄った酒蔵--中野酒造

10月16日から19日にかけての九州旅行では、福岡県久留米市の山口酒造場と大分県杵築市の中野酒造の蔵を訪ねました。

九州旅行最後の日の19日に、大分空港に向かう途中で杵築市の城下町を訪れました。杵築の城下町は、東西に細長い二つの丘の間に道路が走っていて、この道路の両側に、古い白壁の建物の酒屋、味噌屋、呉服屋などの店舗が並んでいます。


そこにある一軒の酒屋で、大分の地酒を土産に買いましたが、それが中野酒造の酒でした。その後、この酒を造っている酒蔵が、遠くないところにあると判明したので、寄ってみることにしました。

車で、5分もしない近場でした。


この酒蔵では、「智恵美人」という銘柄の酒を出しています。蔵の人にこの銘柄の由来を尋ねたところ、創業者の女将さんが「智恵」という名前だったのだそうです。

買ってきた酒は、智恵美人の原酒です。


本日の酒
智恵美人 原酒(有限会社 中野酒造)
特に、特定名称はないようでした。
熟成感があり、甘みがありますが、同時に酸味も効いています。野武士のようなインパクトのあるお酒です。
アルコール度:18%



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2009年10月22日木曜日

長崎の思案橋横丁で飲む

最近、九州旅行に行き、長崎、福岡、東別府にそれぞれ一泊ずつして来ました。

長崎きもの研究会の皆様に、長崎の夜を楽しんで来ました。最初は、料亭の座敷でゆっくりと食事をしましたが、東京と長崎の酒飲みは、さらなる酒を求めて二次回に繰り出すのです。

今回出没したのは、長崎の思案橋横丁という飲み屋街です。

いちべーの嗅覚は、ここでも「酒BAR一反木綿」という、居心地のよさそうな飲み屋さんを探し当て、長崎の人が感心するほどでした。どこに行っても、酒の匂いが俺を導いてくれるのだ~♪


この狭くて薄暗い環境は、酒を飲むにはたいへん落ち着いてよろしいです。

今回は、長崎の地酒六十餘州(本醸造)と佐賀の能古見(純米吟醸)を頂きました。

六十餘州は、口当たりがやや甘く、最後に辛さを感じます。なかなか特徴のある味です。長崎の甘辛い味付けの料理には合うようです。

能古見は、きれいな口当たりの香りの良い純米吟醸ですね。


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2009年10月14日水曜日

御嶽神社の薪神楽

青梅市の御岳山の頂上にある武蔵御嶽神社というのは、たいへん古くて由緒ある神社らしい。この神社のサイトによれば、崇神天皇7年(紀元前91年)に創建と言われています。

崇神天皇と言えば、神武天皇から数えて10代目の天皇です。古事記にも出てくるような、こんなとんでもなく大昔の時代に、御嶽神社が創建したのですね。

そして、10月11日、私は仲間と一緒に、この気の遠くなるほど古い歴史ある神社で行われる薪神楽の見物に来たのでした。

この時に行われた舞の写真を少しですが、ここに掲載します。

(1)浦安の舞
中学1年生、2年生の二人の女の子による「浦安の舞」。昭和天皇の御製「天地の神にぞ祈る朝なぎの海のごとくに波たたぬ世を」に、曲と振り付けを付けた、平和を祈る舞です。


(2)奉幣
この舞は、神楽の最初に演じて舞台を清めるものです。写真の様子からは想像できないと思いますが、かなりリズミカルな曲で、陽気な印象の舞です。


(3)鍛冶
刀鍛冶が天狐(稲荷明神)の助けを借りて名刀を鍛え上げる場面を表現した舞です。


(4)天の岩戸
天照大神が天の岩戸に隠れた時の伝説を表現した舞。鈿女命(うずめのみこと)が、胸をはだけて女陰を露出して踊って神様達を大笑いさせ、その結果、天照大神が天の岩戸から出てきたと言われます。日本初のヌードダンサーと言われる鈿女命ですが、さすがに、神楽の舞台で裸踊りはありませんね。
右の写真は、怪力の持ち主である手力男命(たぢからおのみこと)が、天の岩戸を抱えて放り投げる場面です。


(5)山の神
神楽の最後の演目です。そもそも神楽とは神々に御食を奉るための舞だそうです。神楽のときには、神様にお餅をお供えしておき、最後にそのお餅を観客に投げ頒ち、われわれがそのお裾分けに預かるというわけです。
無病息災のご利益があると言われるこのお餅、7つほど拾うことができました。家に持ち帰り、家族でいただきました。ありがとうございました。


御岳山は社殿のある山頂が標高929m。薪神楽は、社殿から少し下った鳥居前広場で行われます。標高が高いので、10月の夜はけっこう冷えます。舞台の両側で燃える篝火から、煤の匂いとともに伝わってくる火の微かな暖かささえありがたく感じられます。

闇の中に照らし出される舞手の衣装は、篝火の揺らめきに呼応するように煌めいて、見る者を幻想的の世界に引き込んでいくかのようでした。


本日の酒
朝詰めの酒 澤乃井本地酒(小澤酒造)
普通の澤乃井本地酒なのだが、この酒は、10月1日の朝に火入れをして出荷される。日本酒の日である10月1日に、その朝瓶詰めした酒を、火入れの温もりが残るうちに飲みましょうという趣旨の酒。完全予約商品なので、予約しておかないと買えないのですが、なぜか、近くのスーパーに置いてあった。温もりが残る酒を、秋の夜風に当てて冷ましてしまってはもったいない。そういう思いでジャケットの懐に包んで、家に持ち帰った。お酒の温もりが胸に伝わり、心がほんわかするね。
どっしりとしたコクのある味わいの酒。
精米歩合:65%
アルコール度:15 -16%
日本酒度:-1
酸度:1.6




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2009年10月13日火曜日

生原酒炭酸割り、流行らせたい


小澤酒造の澤乃井園で、10月10、11日限定で、「スタンディングバー・さわのすけ」が開店。

実は、11日は、御嶽神社の薪神楽を見物しましたが、この時に、寄り道をしてみました。

それにしても、澤乃井園は相変わらずの繁盛ぶりですね。売店は、酒のつまみや蕎麦などを注文する人が列になっています。

「スタンディングバー・さわのすけ」では、生原酒の炭酸割りが売られていたので、一杯飲んでみました。柚子果汁を加えてもらって、柚子の香りと生酒独特のいかにも酵母が生きているという感じの香りが、混ざってさわやかな印象です。炭酸割りにすると、日本酒の甘みがほどよく出てきますね。

私の場合、生原酒と言えば、独特の風味を味わいたいという発想から、いつも冷でそのまま飲んでいましたが、なるほど、炭酸割りはいいかもしれない。

↓生原酒炭酸割り、一杯350円なり。


↓こちらは、さわびー、澤乃井のビールだから「さわびー」なのですね。
私は、一時、わさび味のビール「わさびー」と勘違いしていたことがありました。


↓いったいこの人たちは、何の密談?(笑



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2009年10月6日火曜日

推定樹齢1000年の欅はでかいぞ

福生市にある田村酒造場は、文政5年(1822年)創業して以来190年近くこの土地で、酒造りを行ってきました。今回は、この酒蔵に見学に行きました。平原営業部長が案内してくれます。酒造好適米のサンプル、酒造りの設備、醗酵して泡が立っている醪の様子などを実際に見ながらの酒造工程の解説は良い勉強になります。

JR福生駅西口を出て、駅前通りを西に10分程度歩き、奥多摩街道との交差点を右折。この辺は、奥多摩街道が、玉川上水のすぐ脇を走っています。上水に沿って上流方向にしばらく行くと歩道橋があり、その先で玉川上水に架かる小さな橋があります。この橋を渡ると、前方左手に赤レンガで積まれた煙突が目に入ります。さらに進めば、延々と続く黒塀。その黒塀が囲む広大な敷地に、重厚な瓦葺きの白壁の建物が何棟も整然と並んでいます。敷地内には大木が繁り、野鳥の囀りも聞こえてきます。そう、この素敵な場所が、田村酒造場です。


酒造場の門を入って左手にある建物の入り口軒下に茶色くくすんだ酒林が下がっています。そして、もうすぐ新酒の季節。この酒林も、じきに新しい緑色のものに交換です。入口の右手には「嘉泉」の菰冠りの樽が積まれています。

その酒林の下を通って建屋内部に入ると、右手に先ほどのあの赤レンガ造りの八角柱状の煙突の基部があります。

この煙突は、明治中期に建造され、関東大震災の被害で倒壊、その後修復されたとのことですが、現在は使用されていません。レンガの積み方に特徴があるので、使用していないからと言って取り壊したりせずに保存しておく方が良いというのが、ある建築専門家の意見のようです。


煙突の反対側は釜場になっています。釜場に入る前にお米のサンプルを見せて頂きました。精米されたお米は白さがまばゆいほどですね。ビニール袋に入れられ酒米の名前と精米歩合を記したラベルが貼ってあります。

山田錦、日本晴れ、吟ぎんが、美山錦などに混ざって、山酒4号がありました。聞いたことがあります。確か、山形県の農業高校で開発された酒造好適米。昨シーズンは、この酒造場でもこの米を実験的に使い、たいへんいい酒ができたということです。それで、今シーズンからこの米を使った新しいお酒を本格的に造るようです。楽しみです。

さて、釜場です。ステンレス製のピカピカの浸漬タンク、これまたピカピカの横型連続蒸米機、放冷機などの設備があり、その隣には、現在は使用されていない甑用の釜が設置されています。


ここの蔵は、建物などもしっかりしていて、設備も新しい。醪のタンクを見せていただきましたが、1万リットルの密閉型のものでした。櫂入れ用のフロアの床はきれいにフローリングされていて、ワックスで綺麗に磨かれているように見えます。古い蔵にありがちな、歩くとギシギシ音がするというようなこともなく、しっかりした床です。5メートルある櫂棒もグラスファイバー製でした。

醪タンクの中を覗くと、ややベージュがかった白色のどろどろの醪が、プクプク泡を立てています。甘いサイダーのような魅惑的な匂いがします。


さて、設備は最新式か、かなり新しいもののように見えますが、これらの設備が置かれている蔵の建物自体は古いのです。仕込みタンクが置かれていた蔵は、大正7年に建設されたものです。屋根は本瓦葺きで、宮大工によって建造されたそうです。何とも贅沢な建造物ではありませんか。

蔵元の田村家の庭も拝見させていただきました。國府田宏行氏著の「東京の地酒」によれば、田村家は、300年以上の歴史を持ち、福生村の名主だったそうです。それだけに、所有の庭は古さがあり、そこに生い茂る推定樹齢1000年という大欅は一見の価値があります。この欅の張り出した枝が程良い木陰を作り、かつては酒蔵を涼しく保つのに役立ったとそうです。


見学コースの〆は、もちろんお決まりの試飲タイムです。特別本醸造「幻の酒嘉泉」、純米吟醸生貯蔵酒、純米吟醸「田むら」のサンプル品を試させていただきました。とくに「幻の酒嘉泉」は、コクもあり、あまり華やかな感じがしないところが好きなのです。平原部長によれば、酒好きは最終的には、吟醸酒よりも本醸造に行きつく傾向があるようです。


蔵の中を歩くと、杜氏さんや、蔵人が忙しそうにしています。これから冬に向かって、次々に仕込みが行われて行って、ますます忙しくなるのでしょうね。平原部長、忙しい時に案内していただき、ありがとうございました。


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2009年10月1日木曜日

日本酒の日に

二つのブランドを比較したとき、一方が生酒で、他方が火入れ酒だと、ほとんどの場合、私は生酒の方が美味いと感じてしまいます。生酒と火入れ酒では、なにか次元が異なる印象さえあります。

ところで、日本酒が一種類くらいしか置いていない飲み屋さんでは、その日本酒は、まあ、普通は火入れをした酒で、そんなに高くない普通酒が多いのだろうと思います。決して普通酒がまずいというわけではありませんが、それなりに酒を飲んで舌が慣れているか、よほど味覚が敏感な人でないと、普通酒の美味さというのは判りにくいのかもしれません。

それで、今まで日本酒をあまりのんだことがない方が、たまたまそういう飲み屋さん日本酒を飲むと、「これはちょっと苦手かな~?」と思う場合が多いのでしょうね。

ところが、これが生酒となると、香りが新鮮で、一口飲んだ瞬間から「美味い!」となることが多いように思います。日本酒が苦手と思っている方には、一度、生酒を飲んでもらうと、また日本酒に対する見方を変えてもらえるのではないでしょうか。普通酒だけ飲んで、日本酒ってこんなものかと思われるのはいかにも残念ですからね。

そんなことを考える今日この頃ですが、ところで本日は、日本酒の日だそうです。蔵元さんでは、すでに麹造りも始まって最初の仕込みが済んでいるところもあるようです。このころ、酒屋に行けば「秋あがり」や「ひやおろし」が売られています。特に「ひやおろし」は、出荷時の火入れをしていないので、半分生酒みたいなものです(一種の生詰め酒)。

涼しくなって、過ごしやすくなり、何を食べてもおいしく感じる今の時季を、ひやおろしを飲みながら堪能するのは、日本に住む人々の特権とも言えますね。

本日の酒
久礼 純米無濾過 ひやおろし (西岡酒造店)
高知のお酒。四万十川源流域の洞窟で貯蔵したひやおろしです。
生の風味を残しつつ、まろやかに熟成されています。日本酒度+9ですが、辛口というより、さっぱりさわやかに飲めるという酒です。
原料米:土佐錦(高知県産酒造米)
精米歩合:60%
アルコール度:17 - 18%
日本酒度:(+)9




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