2011年1月26日水曜日

文金高島田、そして茶そばと酒

文金高島田と言えば、結婚式の花嫁の髪型として知られ、日本髪の中でも最も豪華な結い方ではないだろうか。

日本髪の結髪をなさっている関場明子さんが、川越の小江戸蔵里で、文金高島田の結髪の実演をなさるというので、見学してきた。



関場さんの解説によれば、日本髪の結髪師と言っても、鬘の髪で結うことが多く、地毛で結う人はあまりいないらしい。地毛は、鬘に比べて生えたばかりの短い毛も混ざっており、結う時に処理が面倒とのこと。また結髪の道具類なども工夫して自作するなど、なかなか苦労されているようだ。

関場さんは、モデルさんの頭髪に分け目を入れて、櫛できれいに整えて行く。区分けされた髪の束は、髱、鬢、前髪となって、たおやかな曲線を描きつつ、頭頂部へ流れて行き、それが見事な髷に結いあげられて行く。仕上げに花笄、簪、櫛が飾られ、さらに純白の角隠しが巻かれる。かくして人の髪の毛による芸術作品は完成する。

当日撮影した動画をご覧あれ(再生リストになっていて8動画あります)。

(文金高島田&白無垢の再生リスト)


さて、髪結いの実演が行われた小江戸蔵里は、かつて鏡山酒造という酒造会社(現在の小江戸鏡山酒造とは別の会社)の跡地で、まだ蔵の建物が何棟か残っている。それらの建物を使って昨年オープンしたのが、小江戸蔵里という商業施設なのである。今回の実演も、この蔵里のつどい処という貸しスペースで行われた。

この蔵里の、まかない処は、大正初期に作られた蔵の建物で、この中にレストラン「八州亭」がある。このレストランは、地産池消の考えに基づき、食を提供しているようで、当然、川越の地酒「鏡山」も置いてある。地酒というのは、その土地の料理に合う場合が多いから、地酒をその地の食材を利用した料理に合わせると失敗は少ない。ということで、狭山茶そばと、鏡山純米しぼりたてをいただいてみた。




ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。

2011年1月22日土曜日

酒ケーキ Part II

先日、多満自慢で買って来た大吟醸ケーキというのは、甘さの中に酒の辛みを感じる、まろやかな調和感のある菓子だった。

それで、思いついたのが、酒ケーキの自作である。酒を使ってケーキを自作するというと、聞こえはよいが、要するに市販のカステラを買ってきて、酒を浸み込ませてなじませるだけだ。



試食してみてわかったことは、酒はふんだんに浸み込ませた方が旨いということだ。

それから、酒を浸み込ませる前のカステラを食べると、安いカステラのせいかいくぶんパサパサしているが、こういうパサパサしたカステラの方が、酒を浸み込ませた時により旨くなるような気がする。なまじ、高くてしっとりした、文○堂とかの高級な長崎カステ~ラだと、こうは行かないのだと思う。


ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。

2011年1月20日木曜日

繭玉・燗銅壺

私の住んでいる土地では、かつて養蚕が盛んで、1月14日に繭玉を飾る習慣があった。石臼の穴にちょうど合うくらいの太さの適当な木を切ってきて挿し立て、この木の枝に、繭に見立てた米の団子をたくさん挿して、座敷の中に飾る行事である。これは、その年の養蚕の上首尾、さらには豊作を祈って行われる。



昨年の1月に、武蔵村山市岸にある里山民家(古い農家を展示用に復元したもの)を見学したとき、この繭玉が展示されていた。囲炉裏で火が燃えている、やや煙い室内で、繭玉が展示されている風情に、かなり懐かしさを覚えたので、今年も見に行った。そして、今年も、囲炉裏に火が燃えており、その煙の匂いを嗅ぎ、薪が爆ぜる音を耳にすると、不思議と心が安らぐのである。



美しい柄の着物も着物ハンガーに掛っていた。この生地は、村山大島と呼ばれ、この里山民家がある地域周辺でかつて生産が盛んだった織物である。この着物の生地も、この地で取れた絹を使って織られたものであろう。

奥の座敷には、長火鉢と燗銅壺が展示されている。昔の人は、寒い日には、長火鉢で手を炙りながら燗酒を飲んだのだろう。最近、寒い寒いとつい文句を言ってしまうが、こんな洒落た民具で暖を取りながらの燗酒は、寒いときだからこその楽しみだろう。そのうち、ネットオークションか何かで長火鉢と燗銅壺を入手しよう。そして、酒友を呼んで、ゆっくりと燗酒を飲んでみようと思う。

ところで、燗銅壺と言えば、以前、英文ブログに燗銅壺の記事を書いたが、最近、その投稿に対して、コメントがあった。コメントの主は、フィラデルフィアに住んでいる人だが、何でも自作してしまう器用な人のようだ。なんと、私の記事を参考にしながら、燗銅壺を自作して、燗酒を楽しんだそうだ(Kandouko )。


ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。

2011年1月18日火曜日

酒ケーキ

先日、地酒めぐりスタンプラリーで、多満自慢の石川酒造へ行ったとき、そこの酒世羅で「大吟醸ケーキ」というのを売っていた。箱には、ちょっとうろ覚えなのだが、「ケーキに大吟醸を浸み込ませて熟成させた」というようなことが書いてある。



ほのかな酒の香りが、ケーキの上品な甘さとよく合っている。

本日の酒
きりんざん純米酒(麒麟山酒造)
最近、新潟の純米酒や本醸造クラスの酒を何本か揃えて飲み比べているが、このきりんざんの純米酒は、甘みがあって旨い。




ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。

2011年1月16日日曜日

寒い日は風呂に浸かって温まる

ここのところ寒い日が続く。手足が冷えると、夜はなかなか寝付けないものだ。

そんなときは、やっぱり風呂がいいね。

入浴剤に、「白鶴の酒風呂<大吟醸酒配合>」を入れてみた。
清酒を一合くらい風呂桶に注ぐのもいいのかも知れないが、清酒愛好家としては、飲まないで風呂桶に注いでしまうというのは、さすがに忍びない。そんなとき、最近、この入浴剤を知人からいただいたのだ。

保湿・美肌、保温・発汗、リラックス効果のある日本酒風呂は最高だ。そこで思わず、「ババンバ、バンバンバ~ン♪」となるわけだ。



本日の酒
ふなぐち菊水一番しぼり(菊水酒造)
まだ、酒に詳しくなく、生原酒もそんなに飲んだこともなかったころ、新潟帰りの新幹線の中で、黄色のアルミ缶に入ったふなぐち菊水一番しぼりを飲んで感動したことがある。生原酒にハマるきっかけになった酒。




ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。

2011年1月14日金曜日

シーモンキーが生まれる酒?

子供の頃、通販で「シーモンキー」というのがあった。エビのような格好の小さな甲殻類で学名はArtemia salinaとか言うらしい。実際の商品は、この生物の乾燥卵とか、餌などをセットにした飼育キットみたいなものらしい。少年雑誌の裏表紙なんかに、シーモンキーの広告がよく載っていたが、子供の間ではどの程度人気があっただろうか、私にはよくわからない。

シーモンキーを売っている会社は、「不思議な怪獣」などと言って宣伝していた。シーモンキーと言う「サル」を意味する単語を名前に含んでいながら、実際は、単なる小さなエビにしか見えないという胡散臭さがなかなか好きだ。

最近では、「シーモンキー」なんていう言葉は、もう滅多に聞かれなくなったが、先日は、何十年振りかで、この懐かしい言葉を耳にした。

その時は、小澤酒造がやっている澤乃井園で、自分を含む酒仲間4人ばかりで、酒を飲んでいた。最初は、売店で燗酒を買って来て、みんなで飲んでいたが、一人が土産店で買って来た一升瓶を開けた、みんなに分けてくれた。この酒が、亀口酒純米銀印であった。

銀印を飲んでいると、その酒をくれた人が「シーモンキーみたいだな」と言った。テーブルに置かれた一升瓶の中に、冬の太陽が射していた、酒が微発泡性の生酒で、たくさんの細かい泡が酒瓶の中をゆっくりと上に上がっていき、それが陽に照らされてキラキラ輝いていた。つまり、この泡がシーモンキーに見えたということだ。実際には、シーモンキーの実物を自分の目で見たわけではないが、こんな小さな泡粒のように見えるのかも知れない。




ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。

2011年1月11日火曜日

鏡開きと福袋

お正月らしい話題として鏡開きと福袋について書いてみたい。

鏡開きと言うのは、1月11日にお供え餅を下げてきて、それを食べるという習慣なのだが、今回のはこれとは違う樽酒を木槌で割って皆で飲むという方。

樽酒は、たいていの場合、普通酒などのあまり高くない酒を杉の樽に詰め、これを数日から一週間くらい寝かせると、酒がいい具合に杉の香りを纏い、爽快な飲み心地の酒になる。

結婚式やら、何かのオープニング祝いやら、正月やら、そういう目出度い催し物の時に、鏡開きをして皆で乾杯するということは、ご存知の通り。

1月9日に、小澤酒造の澤乃井園で、鏡開きをして振舞い酒がいただけるというので、ただ酒をもらいに行って来た。ここの辛口の酒、たぶんあの「奥多摩湧水仕込み」か何かの普通酒であろうが、これが、たいへんきびきびした感じの爽やかな飲み口になっていた。身体が生命がよみがえるような感じの酒だ。


それから、売店前には、菰冠りの酒樽が並べられ、その上に福袋が並んでいた。福袋って、嘘か本当か知らないが、江戸時代老舗百貨店の大丸だかどこかが、最初に始めた商習慣とのことだ。

そして、澤乃井園でも福袋を売っているではないか!中身は、もちろん酒が入っている。



澤乃井園で、いろいろ酒を飲んでいたら、いつの間にか酔った勢いで、一番高い福袋(一万円也)を買ってしまった。この福袋は、袋そのものが、澤乃井グッズのトートバッグになっており、そして入っていた酒は、大吟醸「梵」の斗瓶囲いしかも生酒、大吟醸の原酒、純米吟醸「蒼天」の原酒と豪華である。おまけとして、木製の澤乃井ぐい呑みまでついていた。内容的には申し分なしだ。




ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。

2011年1月10日月曜日

スタンプラリー最後は地元の三蔵

「西武線で行く沿線地酒めぐり・スタンプラリー」のことは、過去二回、このブログで書いている。

先日、そのスタンプラリーの続きをやってきた。

この時までに、七蔵を巡っていたので、十蔵制覇には、残り三蔵のスタンプが必要。そして、その残りは、嘉泉の田村酒造場、多満自慢の石川酒造、千代鶴の中村酒造であった。どれも私の地元というべき酒蔵。

最初に、立ち寄った田村酒造場は、幻の酒「嘉泉」を醸す。JR福生駅から徒歩10分程度。北風が強く寒い思いをしながら歩く10分は、長く感じられた。

田村酒造場の敷地には、りっぱな蔵の建物が立ち並ぶ。この日、我々以外に来訪者はおらず静かな敷地である。ここの蔵は、簡単な無人の展示室があるだけで、その他には直営の売店があるでもなく、試飲処があるわけでもない。だから、長くとどまる理由がない。蔵の事務所に入って、スタンプをもらうと、すぐに次の蔵に向かうべく福生駅まで歩く。


次に向かったのは、JR五日市線秋川駅から、徒歩10分程度のところにある中村酒造。「千代鶴」という銘柄で知られ、個人的には、特別純米「奥多摩」という酒がお気に入りだ。

ここでは、スタンプをもらった後、蔵の酒をいくつか試飲させていただく。特別純米のひやおろしがまだあった。昨年秋の時よりもさらに旨味が乗っている感じだ。この酒、どれだけ旨くなるのか?


中村酒造の次の、多満自慢の石川酒造は、一旦秋川駅まで戻り、そこから拝島まで五日市線に乗る。この日のあまりの寒さに、歩くのが嫌になってしまい、拝島駅から石川酒造へはタクシーを利用した。タクシーで1メーターの距離だ。

石川酒造には、酒世羅という売店があり、スタンプはそこに置いてある。ここが十蔵目であることを告げると、売店のおねぇさんは、すごいですねと言って、スタンプを押す時に拍手をしてくれた。

石川酒造は、敷地の中に日本食レストラン「雑蔵」と、イタリアンレストラン「福生のビール小屋」がある。「雑蔵」は新年の休業中だった。ビール小屋に寄ってビールを飲むことにした。季節のビールでブルーベリーエールがあったので、チーズをつまみにこれを飲んでスタンプラリーの締めくくりとした。


さて、今回の蔵めぐりの様子を動画にしたので、どうぞご覧ください。





ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。

2011年1月1日土曜日

押してダメなら引いてみる?-- 地酒屋こだま


大塚駅から、5分も歩いた、郵便局のある反対側に、地酒屋こだまという酒屋がある。

たいていの酒屋は、日本酒の他にビールやら、焼酎やら、発泡酒やらを置いているのだが、ここの酒屋は、ほぼ日本酒、いや全部日本酒だったような気がする。面白い店だ。

このお店は、昨年の、たしか5月頃、以前は「つなや」という名の酒屋さんだったお店が、新しい店主にバトンタッチして、「地酒屋こだま」として始まった。実は、ここのお店の店主さんとは、以前から知り合いで、それで、一度は訪ねてみたいと思っていたわけだが、なかなか行く機会もなかった。そして、昨年暮れも押し詰まった28日に、たまたま都心の方で仲間と忘年会をやることになり、そのついでに寄らせてもらった。

店の前に着いた。ドア越しに、店主の児玉武也さん(以後、たけさんと呼ぶ)が、元気そうにお客さんの応対をしているのが見えた。私は嬉しくなって、元気よく店に入って行こうと、一生懸命ドアを押す。しかし、どうしたことか、ドアが開かない。そうか、手前に引くのかと思って、引っ張って見たがやはり開かない。

そして、しばらくドアをガタガタさせた後、やっと左右に開く引き戸だったことを思い出した。そして店内に入ると、たけさんは、開口一番「壊さないでくださいね~」と言ったのだ。

この店は、素晴らしい店だ。酒の好きな人、酒に興味がある人、自分は好きじゃないけど誰かに酒を贈りたい人など、何かしら酒を買う理由がある人は、この店に行ってみるといいと思う。

このお店をお奨めする理由は、主に五つある。第一に、ほぼすべての酒が試飲可能であること。無数にある酒の種類の中で、どの酒が自分の欲しい酒かなんて、だいたい飲んでみるまで判らない。しかし、この店は、ほぼすべての酒が試飲可能なため、自分の舌で確かめて納得して買っていくことができる。たとえば、自分はあまり飲まないけど、今日はふぐ鍋なのだというお客さんには、ふぐに合うお酒ならこういう味はいかが?というように、たけさんが何種類かを試飲させてくれるのだ。お客さんは、自分の舌で確かめて納得して買っていくことができるというわけだ。

第二に、酒の管理が行き届いていること。冷蔵庫の照明などは、酒にとって有害な紫外線を出さないものを使い、常に0度で保存しているとのことだ。蔵元さんが丹精して造ったお酒を大切に扱っていることがよくわかる。蔵元さんも、こういうお店なら安心して、自分の蔵で造ったお酒を託せるというものだ。



第三に、このお店にある酒が、ほとんど店主の好みと言うか、独断と偏見で選定されたお酒ばかりだということである。有名な蔵の酒なんて、ほとんどないのである。それゆえに、発見があり、わくわくするのである。中には、佐賀県で年間25石しか造っていない蔵の、東鶴なんていう酒もある。いや、もちろん石高が少なければ良いということではないのだが、少なくても、たけさんが良いと思ったもの、あるいは良くなる可能性があると判断したものを置いているということだ。だから、新たなお酒との出会いを体験したいと思ったら、この店に行ってみるとよいかも知れない。

第四に、午後5時からスタートするという、有料試飲コーナーの存在である。地酒屋こだまは、酒屋であって、決して居酒屋でないので、その辺のことを理解して、大人しく飲まなければならない。しかし、気になる酒があったときなどのように、じっくり唎いてみたい場合は、このコーナーがあるのはありがたいことだ。(諸般の事情により現在は有料試飲はやっていないみたいです[2012年1月追記])



そして、何よりも素晴らしいと思ったのは、たけさんの心のこもったお客さん対応だ。私が、有料試飲席で、のんびり酒を飲んでいる間も、お客さんがポツポツやって来るのだが、一人ひとりのお客さんの要望に耳を傾けて一緒になってお酒を選んでいる様子は、素晴らしいなと思った。お客さんも、楽しそうに買い物が出来るし、たけさん本人も楽しそうだ。そして、お客さんが帰る時は、ていねいに入り口で頭を下げて挨拶していた。ここまでされると誰だって、いい気持ちになるし、また、買いに来ようと思うに違いない。

以上、ずいぶん褒めたが、これは、たけさんが私の知り合いだからと言って、決してひいき目に書いているのではない。少なくとも、こんな酒屋さんには、今までに行ったことがなかったので、少々びっくりしつつも、素晴らしい酒屋さんだと思えたのだ。

最後に読者の皆さまにも一言注意をしておきましょう。地酒屋こだまの入り口のドアは、左右にスライドさせる方式です。決して無理に押したり引っ張ったりしてドアを壊さないようにしましょう(笑





ブログランキング
いつもクリックありがとうございます⇒にほんブログ村 酒ブログ 日本酒・地酒へ

東京地酒マップ
東京地酒マップは、東京の蔵元や東京の地酒を売っているお店を紹介するための地図です。東京地酒(複数の蔵元、各蔵元複数の種類)を置いてある酒屋さん、またそんな酒屋さんをご存知の方、どうぞ情報をお寄せくださいませ。

英語のブログで情報発信してみませんか?
たとえばこのブログの英語版は以下のサイトにあります。
SAKE, KIMONO, and TABI
詳しくは、「ある翻訳」のサイトをご覧くださいませ。