2009年10月6日火曜日

推定樹齢1000年の欅はでかいぞ

福生市にある田村酒造場は、文政5年(1822年)創業して以来190年近くこの土地で、酒造りを行ってきました。今回は、この酒蔵に見学に行きました。平原営業部長が案内してくれます。酒造好適米のサンプル、酒造りの設備、醗酵して泡が立っている醪の様子などを実際に見ながらの酒造工程の解説は良い勉強になります。

JR福生駅西口を出て、駅前通りを西に10分程度歩き、奥多摩街道との交差点を右折。この辺は、奥多摩街道が、玉川上水のすぐ脇を走っています。上水に沿って上流方向にしばらく行くと歩道橋があり、その先で玉川上水に架かる小さな橋があります。この橋を渡ると、前方左手に赤レンガで積まれた煙突が目に入ります。さらに進めば、延々と続く黒塀。その黒塀が囲む広大な敷地に、重厚な瓦葺きの白壁の建物が何棟も整然と並んでいます。敷地内には大木が繁り、野鳥の囀りも聞こえてきます。そう、この素敵な場所が、田村酒造場です。


酒造場の門を入って左手にある建物の入り口軒下に茶色くくすんだ酒林が下がっています。そして、もうすぐ新酒の季節。この酒林も、じきに新しい緑色のものに交換です。入口の右手には「嘉泉」の菰冠りの樽が積まれています。

その酒林の下を通って建屋内部に入ると、右手に先ほどのあの赤レンガ造りの八角柱状の煙突の基部があります。

この煙突は、明治中期に建造され、関東大震災の被害で倒壊、その後修復されたとのことですが、現在は使用されていません。レンガの積み方に特徴があるので、使用していないからと言って取り壊したりせずに保存しておく方が良いというのが、ある建築専門家の意見のようです。


煙突の反対側は釜場になっています。釜場に入る前にお米のサンプルを見せて頂きました。精米されたお米は白さがまばゆいほどですね。ビニール袋に入れられ酒米の名前と精米歩合を記したラベルが貼ってあります。

山田錦、日本晴れ、吟ぎんが、美山錦などに混ざって、山酒4号がありました。聞いたことがあります。確か、山形県の農業高校で開発された酒造好適米。昨シーズンは、この酒造場でもこの米を実験的に使い、たいへんいい酒ができたということです。それで、今シーズンからこの米を使った新しいお酒を本格的に造るようです。楽しみです。

さて、釜場です。ステンレス製のピカピカの浸漬タンク、これまたピカピカの横型連続蒸米機、放冷機などの設備があり、その隣には、現在は使用されていない甑用の釜が設置されています。


ここの蔵は、建物などもしっかりしていて、設備も新しい。醪のタンクを見せていただきましたが、1万リットルの密閉型のものでした。櫂入れ用のフロアの床はきれいにフローリングされていて、ワックスで綺麗に磨かれているように見えます。古い蔵にありがちな、歩くとギシギシ音がするというようなこともなく、しっかりした床です。5メートルある櫂棒もグラスファイバー製でした。

醪タンクの中を覗くと、ややベージュがかった白色のどろどろの醪が、プクプク泡を立てています。甘いサイダーのような魅惑的な匂いがします。


さて、設備は最新式か、かなり新しいもののように見えますが、これらの設備が置かれている蔵の建物自体は古いのです。仕込みタンクが置かれていた蔵は、大正7年に建設されたものです。屋根は本瓦葺きで、宮大工によって建造されたそうです。何とも贅沢な建造物ではありませんか。

蔵元の田村家の庭も拝見させていただきました。國府田宏行氏著の「東京の地酒」によれば、田村家は、300年以上の歴史を持ち、福生村の名主だったそうです。それだけに、所有の庭は古さがあり、そこに生い茂る推定樹齢1000年という大欅は一見の価値があります。この欅の張り出した枝が程良い木陰を作り、かつては酒蔵を涼しく保つのに役立ったとそうです。


見学コースの〆は、もちろんお決まりの試飲タイムです。特別本醸造「幻の酒嘉泉」、純米吟醸生貯蔵酒、純米吟醸「田むら」のサンプル品を試させていただきました。とくに「幻の酒嘉泉」は、コクもあり、あまり華やかな感じがしないところが好きなのです。平原部長によれば、酒好きは最終的には、吟醸酒よりも本醸造に行きつく傾向があるようです。


蔵の中を歩くと、杜氏さんや、蔵人が忙しそうにしています。これから冬に向かって、次々に仕込みが行われて行って、ますます忙しくなるのでしょうね。平原部長、忙しい時に案内していただき、ありがとうございました。


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