2012年6月25日月曜日

東京の酒、二銘柄

純米吟醸田むら
福生市にある田村酒造場、文政5年(1822年)創業のこの蔵元は、以前から「嘉泉」という銘柄で酒を醸してきた。その田村酒造場が、新たに「田むら」という銘柄で純米吟醸を造った。

「田むら」は、同酒蔵のメルマガのバックナンバー等を参照してわかったのだが、2004年の11月に名酒センターと企画・販売し、20056月から発売されたようだ。この蔵が定期的に発刊している小冊子「ひねりもち」のある号の中に、「田むら」誕生秘話みたいな話が特集されていて、それには、蔵元と、杜氏さんと、営業の担当者さんが「究極の酒」を目指して開発したと書いてあった。南部杜氏の流れをくむ同蔵が、岩手の酒米「吟ぎんが」を55%に精米して、大吟醸相当の造りの技術を用いて造った酒としてあった。

この純米吟醸「田むら」の生酒バージョンは、年に二回出荷されるようだが、先日、福生のとある酒屋さんが、「田むらの生を置いています」とツイートがあったので、さっそく買って来た。

柔らかい上立ち香は米の甘さをイメージさせ、一口含むと、口のなかにすーっと入って、旨みが広がり、それが切れ目なく柔らかな酸味にとって代わる。味はおだやかに消えていく。過度に華やかではないが、全体として優雅な印象。私の乏しい語彙で、この酒の印象を記述するとこんな感じ。



純米吟醸喜正
五日市街道は、JR武蔵五日市駅付近で終わって、そこから西に向かう道は桧原街道と呼ばれる。その桧原街道を少し西に進んだ、戸倉という地に、野崎酒造がある。五日市という場所は、桧原村の木炭を売る商業地として古くから発展していたようだ。黒八丈という反物の産地でもあった。そして、この地に暮らす人々は、古くからこの蔵が醸す「喜正」を飲んでいたことだろう。

野崎酒造は、小さな蔵で、石高もたいして造ってはいないだろう。あきる野市内や、主に近隣の市町村の酒屋で、この蔵の酒を買うことができるが、都内で見つけるのはなかなか難しいに違いない。

しかし、こういう地域に限定的な酒というのは、その地域の人々の味に対する嗜好を反映するであろうから、おそらくこういう酒が「地酒」と呼ぶに相応しい酒なのではあるまいか。そして、喜正の酒を飲むとき、私は、いつも素朴なものへの、憧憬の念を抱くのである。

私は、喜正の酒としては、純米酒を良く飲むのだが、最近、ちょっと豪華に、純米吟醸にしてみた。

この純米吟醸、とても優しく柔らかい味わい。たいていの酒は、冷酒よりも常温で旨みが出る。この酒も冷えすぎだとあまり面白くなく、常温の方が味わい深い。そして、これをぬる燗にしてみたところ、口の中に広がる上品な甘い旨みとおだやかな香りの調和が素晴らしかった。微かなバナナのような香りの吟醸香が、控えめなBGMのように、一貫して酒の旨みと響きあっている。



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