2012年6月7日木曜日

燗酒で酒の魅力が広がるな~


よく海外の酒イベントとか、酒セミナーの記事などを見ると、外国の方々は、酒を燗して飲むのは少ないのかななどと思う。

日本では、古くから酒を燗して飲んできたわけで、むしろ燗する方が普通だったようだ。近年では、吟醸酒のような高級な酒が一般消費者にも普及して、こういう酒は冷や冷酒で飲む方がむしろ普通になってしまった。一方で、普通酒などは依然として燗で飲むことが多い(居酒屋で燗を頼むと、たいてい普通酒とか安めの酒が燗で出てくるし)。

酒というのは、本来、燗で飲むものだったと思っていたのだが、本当のところ、燗で飲むのがいいのか、冷や冷酒で飲むのがいいのか。

酒を関すると、どうなるのかと言えば、
  • 燗すると雑味が増えることがある
  • 燗すると甘みが増えることがある
  • 燗すると酸味が増えることがある
  • 燗すると旨みも増えることがある
ここで、重要なことは、上手く燗すると美味い酒になるかも知れないということだ。

よい酒は、デリケートに出来ているので、燗のつけ方がむずかしい。
それに、よい酒は、雑味がなくスッキリしているので、あえて燗にしなくてもよい。

そのため、高級酒を燗して出す居酒屋やレストランは、ほとんどなく、たいていは、冷か冷酒で出すのであろう。かくして、「安い酒は燗、高級酒は冷」という考え方が人々の中に定着して行ったのではないか?

しかし、高級酒を燗にしてはいけないということではなかろう。上手に燗すれば、もっと美味しくなるという高級酒もあるに違いないし、燗をすることで、思いもよらない味が引き出されることだってあるだろう。

実際、すっきりとした飲み口の吟醸酒が、適切な方法で、適切な温度に燗されると、ぐっと酸が強調され、酒肴との相性が高まるなどという「新発見」をするようなこともある。そういうときは、酒の世界の深さ、面白さが実感できて、とてもわくわくさせられるものだ。

ちなみに、燗に関係して以下のような表現がある。
  • 「燗上がり」 - 燗により、味が引き出されること。
  • 「味が開く」 - 燗により、冷たかった時には十分に感じられなかった味が、表に出ること。
  • 「香りが開く」 - 燗により、冷たかった時には十分に感じられなかった香りが、表に出ること。
冬の寒さに固く閉じていた蕾が春の日差しを受けて、ゆっくりと緩み、そして馨しき香りの花を咲かせて我々を魅了するように、低温で貯蔵されていた酒は、温めることでその味や香りが開くのである。

私は、燗上がり、味や香りが開く、という実にワクワクする現象を実際に体験した結果、燗をつけて飲むというのは、酒の楽しみの大きな部分を占めうるのだという確信に至った。いや、燗酒の良さを経験できないことは、酒の良さの半分が経験できないことを意味するとさえ感じる。

私が読者の皆さんには、お酒の飲み方に関してあれこれ指図するつもりはない。しかし、高級酒は燗してはいけないとか、生酒は燗してはいけないと決め付けないで、もし興味があれば、ご自身でいろいろな酒を燗欲しいと思うのだ。燗をするといっそう美味くなるような吟醸酒や生酒にきっと出会えることだろう。そういうエキサイティングな出会いを、ぜひ経験して欲しいと思うのだ。


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