2011年6月23日木曜日

旧白洲邸「武相荘」

6月のある週末、白洲次郎・正子夫妻のかつての住まい、「武相荘」を訪れた。小田急線の鶴川駅から徒歩10分程度。

入場券を買って敷地内に入る。厩のようなガレージのような建物があり、そこには黒いボディーのクラシックカーが置かれていた。この車はPaige Fleetwood Six-38、加須市にあるワク井ミュージアムという車の博物館の収蔵品で、これを借り出して展示しているようだ。

この車と同型の車を、白洲次郎は中学時代の頃、父親に買い与えられ、乗り回していたとのことだ。ガキのくせに、こんな車を乗り回すとは、巨人の星に出てくる花形満みたいだ!しかし、この木製のハンドル、ゆったり脚を伸ばせそうな後部座席、黒い革張りの内装、車両全体が醸し出す重厚感。ああ、いい雰囲気だ。一度、乗せてくれないかな~。



車を眺めてから、パンフレットには長屋門と書かれている、その先の門をくぐる。長屋門とは、門の両側に門番や使用人などのための居住空間を備えたもののはずだ。しかし、こちらの門には、そのようなものはなく、左右は単なる壁である。ともあれパンフレットには長屋門と書かれているので長屋門と呼ぼう。

その長屋門をくぐると、樹齢200年とも言われる柿の木の向こうに母屋がある。寄棟造りの萱葺きで、往時には一般的な構造の百姓家だったようだ。屋根は萱を葺き替えたばかりのようで、軒先などは、まだ刈り込み鋏の切り口が判るほど鋭角にとんがっている。

萱葺きの棟の東端には、萱を切りそろえた面にお目出度い文字「寿」が彫られている。ちなみに、棟の西端は見忘れたが、そちら側には「水」とあるようだ。防火のお呪いであろう。

 


母屋の中を見学できるのだが、残念ながら撮影は禁止されている。建物は、南側の右側が入り口、入り口を入ると土間、土間から西側を向けば、左側に囲炉裏のある座敷、右にも部屋。そして、そのそれぞれの奥にも座敷がある。これは、民家としては一般的な間取りだ。ただし、土間には床板が張られ、洋風な客室に改装されている。

部屋同士が廊下ではなく襖によって区切られるのが、日本の家屋の基本的特徴。しかし、中を見せていただくと、白洲夫妻がこの家にいろいろと手を加えて、自分たちの住みやすいように変えていった様子が窺われる。始めから、家の間取りや各部屋の用途をきっちり決めずに、住みながら、自分の都合に合わせて家に手を入れていく。そういう住み方は楽しいだろうし、住む家にも愛着が湧くのではないかと思う。

庭には、どくだみ、蛍袋、撫子などが咲いている。梅雨の曇り空は、ついに雨を降らし始めた。何時までも止みそうにない雨が草花を濡らし、しっとりとしたその空間が背後の竹林につながって行く。柿の木に雨宿りして見上げる柿の葉や未熟な実が、みずみずしく輝いて見える。武相荘は、じめじめしがちなこの時季であっても愉しき場所であった。




本日の酒
山廃仕込純米酒 片野桜 無濾過生原酒 (山野酒造)
よく飲みに行く立川の居酒屋で、最近出会った酒。深みのある味わい、適度な酸味、私好みである。





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